フィンチューブ式熱交換器の仕様選定
フィンチューブ式熱交換器の使用用途が明確になれば、次に諸条件を適えるための仕様の選定が必要になります。その項目については主に下記の8項目です。
1.流体
ガス側、液体側、それぞれにどのような種類の流体を使うのがベストなのかをご相談の上、決定させていただきます。
- ガス側→空気、N2、混合ガス、キャリアガス
- 液体側→(加熱の場合)蒸気、熱媒油、温水等/(冷却の場合)水、ブライン、その他水溶液等
2.流量
どの位のガス体を熱交換させるのかを明確にする必要があるため、Kg/h(min)、Kg-DA/h(min)、m3/h(min)at?℃といった数値が必要になります。m3表記の際はat?℃の数値によりガス体のボリュームが変わるので、明確な指示がないと正確な熱計算が出来ず必要な能力が出ない事態が発生します。液体側についてはユーザー様からユーティリティーの供給量が指定されている場合、明確な指示が必要です。
3.湿度
熱交換器入口側のガス体にどの程度の湿度(水分)があるかにより、熱計算が異なってきます。相対湿度か絶対湿度かなど、条件の明確な指示が必要です。
4.温度
ガス体をどの温度まで加熱、あるいは冷却したいか、液体側のユーティリティーは何度で供給し、また、戻すのかを明確にしなれければいけません。最も重要なのがガス体出口側の液体との温度差です。下記表にてご確認ください。
熱交換器名 | 蒸気ヒーター | 温水ヒーター | 熱媒油ヒーター | クーラー |
---|---|---|---|---|
最低必要温度差 | 15℃ | 5℃ | 5℃ | 5℃ |
希望流れ方向 | 特になし 基本的に蒸気は1パスの為 |
対向流 並行流だと液体出口温度が最低必要温度差が無いと成立しない。 |
||
温度的注意事項 | 保温施工 | 保温施工 | 保温施工 | 凍結対策 |
5.運転圧力
実際に使用する送風機の圧力と熱交換器で損失する圧力のご指示により熱交換器の具体的なサイズ決めを行います。
6.設計圧力・温度
フィンチューブ式熱交換器は圧力容器の部類に該当しますが、第一種圧力容器に該当しますと、内容積次第では製作出来ない場合もあります。設計圧力や温度についてのご指示を頂戴します。
7.送風システム
実際に使用される送風機により、圧力や特性が異なります。下記にファンと仕様静圧、ファン特性から導き出される推奨フィンチューブとケーシング構造の一覧を掲載します。
※粉体の空気輸送で高揚程や輸送距離が長いとルーツブロワの採用が多い傾向にあります。 仕様書に載らないことがよくありますのでご注意くださいますようお願いします。
シロッコファン 軸流ファン有圧扇 |
ターボファン | ターボファン | ルーツブロワ | コンプレッサー 高圧ガス |
|
仕様静圧 ファン特性 |
脈動無し | 脈動無し | 脈動無し (高圧時等) |
脈動有り | 脈動無し |
推奨 フィンチューブ |
プレートフィン | プレートフィン | プレートフィン | プレートフィン | プレートフィン |
ケーシング構造 | 折り曲げ構造 | 折り曲げ構造 | 額縁フランジ構造 | ラインクーラー タンク型構造 額縁フランジ |
ラインクーラー タンク型構造 |
8.材質
フィンチューブの仕様選定で重要な部分として材質の選定があります。材質の違いで熱伝導が大きく異なります。最適な材質を下記の表よりお選びください。(※一般的な材質の熱伝導率を表しています。)
物質名 | 鉄 | ステンレス | アルミニウム | 銅 | 水 | アルコール | 一般気体 | 水素 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
熱伝導率 W/m・K |
47~52 | 17 | 205~235 | 350~400 | 0.6~0.7 | 0.16~0.19 | 0.02~0.03 | 0.19 |
また、弊社で扱うフィンチューブ材質の組み合わせを以下の表にまとめてみました。ご参照ください。
フィンチューブ名 | プレートフィン | プレートフィン | プレートフィン |
---|---|---|---|
フィンチューブ材質 | C1220T | SGP STPG370 STB340 |
SUS304TP SUS304TB SUS316LTP SUS316LTB |
チューブサイズ | φ15.88 | φ15.9 10A 20A |
φ15.9 10A 20A |
フィン材質 | C1220 AL |
SS AL |
AL SUS304 SUS316L |